IT企業の予防法務

トラブルを起こさないための予防策
ソフトウェアに関する契約 著作権保護 人事・労務 に対応する予防策をご紹介しています。

ソフトウェアに関する契約

事例1(著作権)

ソフトウェアの開発を外部へ委託したところ、プログラムやマニュアル等についての著作権は自社に帰属すると受託者が主張し、トラブルになった。

予防策

ソフトウェアの開発業務から生じるものとしては、プログラムに加えて仕様書やマニュアル等があり、このいずれもが著作権の対象となります。
そして、外部委託の場合は原則として、著作物を創作した受託者が著作権を原始的に取得しますので、これを委託者に帰属させるには、 著作権譲渡の手続きを契約書等に定めておく必要があります。

事例2(瑕疵担保)

甲が乙と丙にソフトウェアの開発を委託したところ、プログラムに細かいバグがあり、誰が責任を負うのか、争いが生じた。

予防策

瑕疵、すなわち通常その物がもつ性質を欠く場合、瑕疵担保という責任を負う場合があります。
しかし、ソフトウェアの開発は、要請されるシステム自体、顧客に応じて千差万別であり、瑕疵がない状態が何かを決定するのはきわめて困難です。また、ソフトウェア開発のどの工程に誤りがあったのか、その工程に誰が携わったのか等、いろいろな場合がありえます。
したがって、瑕疵担保責任の有無や主体は明確ではなく、具体的状況により異ならざるをえません。
そこで、契約書の作成においては、この瑕疵担保責任についてなるべく詳しく記載することが望ましいということになります。

事例3(秘密保持)

ソフトウェアの受託開発に携わっていたソフトハウスの従業員が、委託者のノウハウを他の企業に売り込んでしまった。

予防策

ソフトウェアの開発業務に従事する者は、会社の秘密やノウハウを知りうる立場にあるため、秘密保持条項を定めておくことが必要です。

事例4(免責条項)

顧客が自らのコンピュータシステムにおいてソフトウェアの使用を始めたところ、ソフトウェアにバグがあり、顧客のシステムの停止により連鎖的に多額の損害が生じた。

予防策

顧客のコンピュータシステムが重要な業務にかかわっていればいるほど、ソフトウェアの瑕疵から生じる損害についても莫大な額になりえますし、また、予想もしない欠陥が生じることもあります。
したがって、ソフトウェアをめぐる契約では、全く損害賠償を負わない免責条項を定めたり、損害賠償の上限を定めたりすることも考える必要があります。

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著作権保護

事例1(著作権登録)

甲が著作権を乙に譲渡した後、乙が登録しない間に同じ著作権を丙に譲渡し、丙が乙より早く登録してしまった。乙は丙に対して著作権を主張し、争いが生じている。

予防策

著作権登録をすると対外的に著作物の内容や作成時期について明確になり、後日、著作権をめぐる争いが生じた場合に証明が可能となります。
つまり、登録をすることによって第三者に対する対抗要件が備わりますので、乙と丙のうち早く登録した方が勝つことになります。
したがって、乙が著作権を取得したと丙に対して主張するには、乙が丙より早く登録する必要があります。

著作権登録は申請によってなされます。著作権登録申請手続きは煩雑ですので、行政書士に依頼するとよいでしょう。

事例2(著作権侵害)

自社が著作権を有しているプログラムとソースコードまでが同一のプログラムを、他社が無断で販売している。

解決策

ここで販売というのはプログラムの複製物を販売することを意味しており、結局複製権の問題となります。
このプログラムを無断複製する行為は、著作権法違反になります。
そしてこのうち、プログラムについて複製権がないことを知って販売している者に対しては、販売中止の請求や損害賠償請求をすることができます。

著作権侵害の場合、まず、内容証明により警告や販売中止の要請をすることになるでしょう。また、著作権法違反の場合、刑事告訴を行うことも可能です。
いずれにしても、行政書士に相談して手続きをすすめることが賢明です。

内容証明とは、どのような内容の文書を出したかを郵便局に証明してもらえる郵便のことをいいます。

著作権登録、著作権侵害中止要請の内容証明についてのご相談はこちら

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人事・労務

事例1(就業規則)

自社の従業員にプログラムの開発をさせたところ、そのプログラムの著作権は自分に帰属すると従業員が主張し、トラブルになった。

予防策

会社の従業員が業務上、プログラムを開発した場合、誰が著作権者であるかは法人著作の問題と呼ばれます。
法人著作については、著作権法に規定があるので、その要件を満たせば、会社に著作権が帰属することになります。
もっとも、そのことを確認する意味で、従業員との間で著作権の帰属について就業規則等に明記することは必要でしょう。

就業規則の作成には高度な法的判断が必要となりますので、この点は行政書士に依頼する方がよいでしょう。

事例2(秘密保持)

ソフトウェアの自社開発に携わっていた従業員が退職した後に、会社に在職中職務上知り得た秘密を用いて、同業を開業した。

予防策

このようなことがあると、会社が損害を被るため、秘密保持誓約書等に競業避止義務を定めておく必要があります。ただし、従業員の職業選択の自由との関係で一定の限定が必要となります。

秘密保持誓約書の作成には高度な法的判断が必要となりますので、この点は行政書士に依頼する方がよいでしょう。

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